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ここは萌えっ娘もんすたぁ掲示板の萌えもんでSSに投下されたSSを保管するところです。 読んで感想をもった人は現行スレにでも書き込んであげましょう。 現行スレ 【お前の愛を】萌えもんでSS その5【書かないか】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1201306339/l50 4スレ 【今この瞬間は】萌えもんでSS その4【嫁こそが全てだ!】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1199862335/l50 3スレ 【カイリュー】萌えもんでSS その3【はかいこうせんだ】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1197714694/l50 2スレ 【151の嫁】萌えもんでSS その2【無限大の婿】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1197300061/l50 1スレ 萌えもんでSS http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1196863891/l50 萌えもんとは何か、については本家wikiを参照 編集する前に編集ガイドライン(仮)をご覧ください。 スレッド内でリレーSSが展開されています。詳しくはこちら チャットもできました。 2008/10/1付をもちまして、引越しいたしました! 旧チャットは使用できなくなったので、ブックマークをされている方は変更をお願いします。 いままで - 人の方が妄想の世界へ旅立たれ 今日来た - 人の方は帰ってきませんでした コメント 更新履歴やら雑談やらにお使いください 小ネタのページが縦に長く、見づらかったので#contentsを試験的に実装してみました。 -- (A) 2008-08-14 14 25 03 小ネタまとめ2が容量限界に達したので3を作成しました。以後追加はそちらに。あと一度レイアウトの関係で失敗したので、そちらのページには触れないようお願いします。申し訳ありません。 -- (A) 2008-09-09 23 23 35 チャットの方を10/1付をもちまして引越しいたしました。上記にも促しておきましたが、改めてブックマークの変更等宜しくお願いいたします。 -- (チャット管理人) 2008-09-30 22 28 54 これよりまた、管理業務を再開したいと思います。此処最近全く来れず、沢山の人に迷惑をかけてしまい申し訳御座いませんでした。 -- (保管庫管理人) 2008-10-18 19 55 56 ジャンル別まとめの1スレ分の纏めを行いました。まだ作者などの情報を入力していないので、後日入力したいと思っています -- (名無しさん) 2009-03-12 20 32 45 追記 ジャンル分けの方法は個人的に見た感想なので、訂正などをしてくれるとありがたいです。 -- (名無しさん) 2009-03-12 20 33 47 ・ページ作成失敗しました。 866 870 871 872 の頭に5スレが抜けてしまってます。編集できる方修正お願いします。 -- (名無しさん) 2010-12-15 00 34 16 とりあえず新規ページで名称が正しいのを作成しました。削除できる方間違えたほうの削除お願いします。 -- (名無しさん) 2010-12-15 00 44 52 ページ作成ミスりました。5スレ 887-1、5スレ 887-2ですが正しくは5スレ 888-2、5スレ 888-2でした。 -- (名無しさん) 2011-05-01 23 55 13 正しいものは作成しますので誤りの887の二つを削除願います。 -- (名無しさん) 2011-05-01 23 55 47 名前 コメント すべてのコメントを見る
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SS スレに投稿されたSSを一応まとめておきます。 短編・単発物 長編
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ゆっけの友人(チャット友達とか)作のSSを紹介するコーナー。 名前 コメント
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私の前に現れたのは異形の人達…私達と同郷である彼らは自らを『悪』と名乗りながらもそれとは真逆の雰囲気を纏い、丁寧で礼儀正しい真摯な態度で接してきた。 私はそんなあの人達への警戒や疑心などはあまり感じない。でも彼らが『悪』称し、行動を起こすと言うのなら相応の対処をしていかなければならない。それが法の守護者である私達、時空管理局の使命だから… 『天体戦士リリカルサンレッド』この物語は川崎から現れた怪人たちがミッドチルダにて繰り広げる善と悪の壮絶なる闘いの物語である――― FIGHT.02『来迎、夜天の主!!』 「ん~だいたいこの辺の筈なんやけどなぁ」 私服に身を包んだはやては現在、メモを片手にミッドチルダ中央区画の市街地を歩いていた。彼女は六課制式運営までのまだ時間があるうちに、休日を利用してある目的地に向かっているのだ。 「なぁ、はやて~せっかくの休みなんだし何でそんな所行くんだよ?これから忙しくなるんだしさぁ…」 そんなはやてに同行している赤い長髪を三編みにした少女、ヴィータは気だるげにぼやきながら隣を歩いている。だが別にはやてと外に出ることを面倒に思っている訳では無い、只行き先が億劫なのだ。 なぜなら彼女達が目指している場所とはフロシャイムミッドチルダ支部(仮)なのである。 「まぁそう言わんとなヴィータ、この前会った時はあんまりお話出来んかったし…時間のある内に確かめておきたいんよ」 はやてはにこやかに言いながら鞄から何枚かの書類を出す。そこには現段階でのフロシャイムの調査報告が書かれていた。 グーグルを使い公式サイトを発見したところ、流石に本部の住所は載っていなかったが各支部の連絡先や特色、年間行事や職場の雰囲気まで事細やかに記載されていたのだ。 そしてフロシャイムが起こしたと思われる事件についても調べたが、唯一見つかったのが四年前アメリカのユタ州で起きた現地のヒーローとの数百人規模の乱闘だけである。他にはサメ型怪人が溺れている子どもを助けたと言う話があるがこれはどちらかと言うと善行だ。 「しっかし『人として当然の事をしたまでです。』って書いてあるけどさぁ…人じゃなくてサメじゃん。 だいたい自分から『悪の組織』って言ってんだしさぁ、さっさと乗り込んでブッ潰したって良いじゃんかぁ~」 資料をヒラヒラと持ちながら、半ば呆れ気味なヴィータは少々物騒な事を口にする。 「物騒な事言ったらアカンよぉ、フロシャイムの人達は滞在ビザの取得や転居届け、その他の手続きは全て正規の物やし… 入国チェックの時に質量兵器が見つかったらしいんやけど、本人が管理外世界出身なのとすぐ所有者に返却した事から特に問題にはなっていないんよ。 それになヴィータ、令状無しでそんな事は出来へんよ」 ちなみに入国チェックの話は執務官であるフェイトが調べた事である。だが 『管理外世界より移住してきた人が護身用として持ち込んだ質量兵器を管理局法により没収される』 と言った話はよくある事で最近ではその場で破棄するか出身世界へ置いていくのが主流となっている為、とくにこれと言ったペナルティも無い。 「あとシャーリーが調べてザフィーラが毒味したソーセージについても『オマケのフィギュア共々毒物、爆発物等の危険性は皆無。寧ろ無添加、無着色なので食品としては非常に良心的です』や『栄養価も高く安全性にも優れている…岩井のレーズンと並ぶ「お母様も是非お子さまに勧めてあげて下さい」と言いたくなる代物だな』と言ってたですよぉ~」 今まではやての鞄(通称リィンハウス)に入っていたリィンフォース2が会話に参加する。今回はやての護衛としてヴィータ、リィンがついていく事になっているのだ。 「そやねぇリィン、ほんまにこの人達が悪者か疑いたくなるわぁ~他の組織も同じ様な感じやし…」 そう、悪の組織はフロシャイムのみではない。更に調査を進めていくと地球には複数の組織がある事が判明したのだ。 デスヒグマ団、天罰殺気(てばさき)、ゲルド、ドロス、秘密結社デビルクロス、また組織名は不明だが不幸なる沼の王ルゴー、首領ベム、魔王ザムエル、地獄王ギウネス等が率いる勢力が確認された。 しかし彼らを調べても事件らしい事件は確認されていない。それどころかテスヒグマ団は寝込みを襲われ壊滅、天罰殺気は高齢化により受け弱体化、ゲルドは現地のヒーローと戦う事はあっても破壊行為を行う事は無く近隣の住民からの信頼と支持を得ている… おまけに首領ベム率いる勢力は部下との方針の違いから解散し、地獄王ギウネスに至っては芸人として芸能活動を行っている。しかもこれはほんの一例であり他の勢力も似たりよったりである。 「ったく、せっかくジャン○ーソンみたく色んな組織が犇めいていて面白そうだと思ったのにさぁ…やり方も温ければ詰も甘いしヤル気あんのかよ?」 「まぁ、そこを見極める為にもじっくり見てみんとなぁ…あ、そろそろや」 ヴィータは自分の中に溜まりつつあったフラストレーションを吐露し、うんざり気味であったが目的地に近づくと表情を引き締める。例えやる気の萎える様な相手だとしても自分はベルカの騎士、己が務めを蔑ろにするような根性は持ち合わせていない。ましてそれが主であり大切な家族でもあるはやての護衛なら尚更だ。ヴィータは相棒であるデバイスをすぐに起動出来るよう身構え、件の建物を見やった… 目に入るは三階建ての住居、老朽化の為か所々汚れが目立ち、元は白であろう漆喰の壁は黄ばんでもいる。そして全体的にややくたびれた感じの建物の手前には洗濯物を干してある申し訳程度庭が広がっていた。 「…………なぁリィン、ここは何だっつったっけ?」 「え~っとですねぇ…フロシャイムアジトミッドチルダ支部(仮)ですよぉ~」 自身と同等の大きさの紙を目の前に抱えて広げ、リィンがふよふよと浮かびながら何の戸惑いも無く読み上げ惑いも無く読み上げる姿にヴィータはため息を漏らす。一方はやては「ん~思ったより普通やなぁ…」とあまり驚かず、そのままインターホンに手を伸ばすがそこに耳慣れない声が響いた。 「アァ~ダレ?ダレ?」 はやて達が振り向くとそこには紙袋を抱えた狼型怪人、タイザが歩道に立っていた。 「えっと、確かタイザ君やったね。お買い物なん?」 はやての問いにタイザは「スロットッ!!スロットッ!!」と片言で答え紙袋からチョコレートを差し出す。どうやらあげるつもりらしいが包みが半開きで少しかじった後がある。そんなやりとりがされる中、玄関の引戸が開き人影が顔を出す。 「タイザ君誰と話してるの?もしかしてお客さん…?」 兜を被った小柄な男性、ヴァンプ将軍が戸外の音に気付き出てきたのだ。はやてとリィンは「こんにちは~」と朗らかに挨拶をしたがヴィータはデバイスに手を構え警戒体制を取る。相手は曲がりなりにも悪の組織。そしてここはその本拠地、まさか責任者が最初に出てくるとは思っていなかったが…次にどの様な対応に出るかは大体予想がつくと身構えた。が… 「あぁはやてさん!!それにリィンちゃんも…そっちの子は妹さん?さぁどうぞ上がって、散らかっているけどゆっくりして行って下さい。」 ヴァンプの友好的な対応にヴィータはこけそうになった… 玄関をくぐり廊下を通り抜け案内された先は畳張りの居間…十畳程の広さの中心にはちゃぶ台があり角には大きめのテレビ、壁側にはタンスが置かれ奥には台所らしき入り口が見える。隅に段ボール箱が数個積まれているが、部屋が妙に暗かったり足下に怪しげな霧が広がっている等は全く無く、壁に貼ってある落書きのされたヒーローのポスターさえ無ければ至って普通の家庭であった。 「あ、どうぞ座ってください。でもすいません、まだ荷物が片付いてなくて…」 「気にせんでえぇよヴァンプさん、私らもアポなしで来たんやし。それに越して来てまだ3日も経ってないんやからしゃあないよ。」 ヴァンプはちゃぶ台の側の座布団にはやて達を促し部屋の整理がまだ不充分であることを心底申し訳なさそうに言い、はやてはそれにやんわりと応える。そしてヴィータやリィンを含めた四人が席に座り、自己紹介を済ませた所で戦闘員達が台所からお茶とお茶請けを持ってきた。 「なぁ、これ毒とか入ってねぇだろうな?」 ヴィータは差し出されたお茶に対して少々失礼な事を言う。本人としては少しパンチの効いたジョークのつもりだったがその反応は予想とは違った。 「め、滅相も無いですよ!!せっかく来てくださったお客様に対してそんな『ヒドイ事』をするわけないじゃないですか!」 「そうですよ、相手がレッドさんならまだしも『善良な』はやてさん達にそんな『残酷な事』なんて出来ませんよ!!」 ヴィータのジョークをヴァンプと1号は必死に弁明し、居間で昼寝を始めたタイザを担いでいた2号も首を激しく縦に振って同意している。ヴィータはそんな台詞の端々から聞こえる言葉に、頭を抱えて呆れ返るしか無かった…。 そしてはやての「そのレッドさんってどんな人なん?」と言った問いから始まった、天体戦士サンレッドとフロシャイム川崎支部の面々による善と悪の壮絶なる戦いの物語… もとい愚痴を交えた反省会が始まり、「でもそんな私達の相手や説教を今でもしてくれてるのはレッドさんなりの『優しさ』だと思う。 だからここ(ミッド)で一皮剥けて、次会った時にこそレッドさんに打ち勝つ事が恩返しだと思うの、私。」と言う台詞で締め括られた。 前回から面識があり、先ほどのやり取りから既にもう心を開いているはやてやリィンとは別に、ヴィータはそんな前向きな発言をする彼等に対して根は、と言うか普通に良い奴らなのかもな…と思えてきた。その後は何気ない世間話が続き、夕方には安くて品質もそれなりに良い、はやて曰く『底値買い』が出来るスーパーを案内してもらい、帰宅したカーメンマン、メダリオ、アニマルソルジャーの面々を交え現在はヴァンプとはやて共同製作の鍋を囲んでいる。 「あ、ヴァンプさんの糠漬け美味しい~私んとこは最近忙しくて浅漬けが殆どやったから懐かしいわぁ…」 「えぇ、そうですか!!じゃあ今度お裾分けで持ってきますね。でもはやてさんだって包丁捌きはかなりのモノでしたよ。お若いのに立派ですよ。」 「ねぇ~もう放してよぉ、僕は自分の席にすわるからぁ!!」 「別に良いじゃねぇか。もう少しここにいろって」 「むぅ、ヴィータちゃん!!ウサちゃんが嫌がってるじゃないですか、放してあげてください!」 「ねぇ、そう言うなら僕の事も放して貰える?心配してくれるのは嬉しいけど、インシュリン射ったから今日は大丈夫だよιと言うかリィンちゃん大きくなれるんだねぇ…」 「プクク、お前らマジでチビッ子に人気あるなぁ~(笑)」 「そうそう、お前らそうしてる方がお似合いだって(笑)」 「もう五月蝿いなぁぶっ殺すよっ!?」 「チビって言うんじゃねぇよ潰されてぇのかテメェ?」 「もぅ、だからリィンはチビじゃありません!只ミニチュアなだけですぅ!!」 「だからもう放して…」 はやてとヴァンプがお互いの料理の腕を誉め合う傍らで、ウサコッツとデビルねこがヴィータと巨大化した(と言ってもヴィータと同サイズの)リィンに抱えられながら(半ば強制的に)食事を取り、それをカーメンマン達に茶化されると言う団欒とした雰囲気が漂っていた。(Pちゃんはさっさとタイザや戦闘員の所に避難している) 「あ、そうそうどう二人とも、良い場所見つかった?」 食事も一通り済まし、食後のお茶を煎れていたヴァンプは日中に外出していた怪人達に頼んでいた事を尋ねる。 「あぁ~難しいですね。この辺り公園とかありますけど人とか多かったし…」 「うん、そんなに大きく無かったし子ども達も多かったから動きづらいと思うよ。」 「強いて言えば廃棄都市って所がありましたけど…結構遠いんで車(ヴィッツ)が無いとキツいッスね。」 「う~んそうかぁ困ったねぇ…今はまだ庭で何とかなりそうだけど、他の子(怪人)達も来るとそうも行かないし…」 そう、彼らが頼まれた事とはミッドでの訓練場所である。だがその結果は芳しくなく、ヴァンプは頬に手をあて考え込んでいた。だがそこに… 「なぁヴァンプさん、もしよければ私らの所を使わへん?」 ヴァンプ達が消沈している所に、食後のお茶を頂いていたはやてから提案が出る。隣にいたヴィータは何か言いたそうだったが、はやてに考えがあると感じ、膝にいるウサコッツを強く抱き締め思い止まっていた。 「いや、でも悪いですよ。お忙しいのにそこまでして貰うなんて…それにほら、『悪の組織に施設を貸す正義の組織』って世間的にどうかと思いますし。」 「別にえぇよ、公式的には『フロシャイムに対する戦力、及び素行審査』とでもすれば良いんやし、困った時はお互い様や。」 ヴァンプも最初は断ろうとしていたが、はやての説得により承諾し明日の午後に行う事となった。そしてはやて達は「もう暗くなって物騒だから」と言うことで付き添いを買って出た戦闘員の二人とミッドの流行ファッションについて談笑しながら帰路につき、今は戦闘員と別れ玄関の前にいる。 「なぁはやて…さっきは何も言わなかったけど、良かったのかよあんな事言って?確かに助けになりたいと思ったけどさ…正直やり過ぎな感じがするぞ?」 ヴィータは鞄から中で寝ているリィンを起こさない様に鍵を取り出そうとしていたはやてに尋ねた。するとはやてはそんなヴィータに向き直り同じ目線にしゃがんみ、真剣さを秘めた顔で語りだす。 「あんなぁヴィータ…実を言うとなぁ、幾つか理由はあるんよ…六課が追うはレリック、相対するはガジェットドローン…そしてガジェットの向こうには未だ姿を見せない黒幕がおる。それが違法科学者か次元犯罪組織なのかはまだ分からへん…その時重要になって来るのは情報や。 そんでフロシャイムは仮にも『悪の組織』を名乗っとる、蛇の道は蛇…とまでは言わんけど別次元への進出を目指している組織ならその情報網も馬鹿にならへん。まして六課は敵も多いんやし味方増やしてパイプを築く事も今は必要なんよ…」 「はやて…」 はやての言っている事は理解出来る。だが少々抜けているがどこか憎めず、人の良い彼らを結果的には利用することになるのだ。そう思うとヴィータは心苦しく感じ、表情も暗くなり自然とはやての名前を口にしていた。 「で、一番の理由なんやけどな… あんな良い人達と仲良うしてたら、これから楽しそうやろ?」 先程の真剣な表情とは打って変わり悪戯っぽい笑みを浮かべるはやてに、ヴィータは少しの間呆けた表情でいた。 「なんやそんな驚いた顔してぇ~やっぱりヴァンプさん達が心配やった?」 「なっ!?そ、そんなんじゃねぇーよっ!あんな奴ら誰が心配なんかするか!!……まぁウサ達とはダチになりたいけどさぁ…」 ヴィータは声を荒らげ顔を真っ赤にし、後半はゴニョゴニョと口ごもりながら抗議する。だがはやてはニヤニヤしながら気にせずに立ち上がった。 「でも最初警戒心バリバリだったのになぁ…急にずっこけたり呆れたり、最後にはウサ君抱えて離さないでコロコロ変わるヴィータは可愛かったでぇ~ さ、もう遅いしずっと玄関にいるのもアレやから家に入ろか。シグナム達も待ってるし明日は忙しくなるんやしなぁ~」 「あ、ちょっと待てよはやてぇ~」 はやてはヴィータをからかいながら戸を開け、ヴィータもはやてに続いて家に入って行った。 ~翌日・機動六課海上訓練所~ 「今日はよろしくお願いします。でもわざわざすいません、こんな立派な施設を貸して頂いて…」 「別に構わんさ、主から話は聞いている。信頼に値する者達だとな…」 「まぁ、お前らがやっているいつもの対決だと思っておもいっきりヤろうぜ。」 「そや、昨日も言うたけど困った時はお互い様や。それは嘘やない…せやから気にせんでえぇよ。」 ヴァンプ達フロシャイムのメンバーは昨日の打ち合わせ通り訓練所に集まっていた。これから始まる訓練はヴァンプ達に合わせ対決形式となっており、訓練所の一角を溝ノ口にあるいつもの公園に設定してもらっている。 そして今回、フロシャイムと対決するのはヴィータと桜色の髪をポニーテールに結い上げ凛とした雰囲気の漂う女性、シグナムであった。 「それじゃあ皆さん、そろそろですから準備してくださ~い!!」 フヨフヨと浮かぶリィンの合図で訓練の準備が始まった。ヴィータとシグナムが並んで立ち、それと対峙する形でまずは戦闘員とヴァンプが配置につく。 「皆ぁ、殺っちゃいなよぉ~っ!!」 「怪我しないようにねぇ~!!」 「どっちもあんま無理せんとなぁ~!!」 「タァイケツ、タァーイケツッ!!」 ホログラム内にあるベンチからアニマルソルジャー(Pちゃんはいつの間にかどっか行った)やタイザ、はやてからの声援を浴びながら、ヴァンプは槍を強く握り締め…どこか緊張気味であった。 「何、そう固くなるな。場所は違えどこれは訓練だ…いつも通りにやればいい。」 「そ、そうですか?レッドさん以外の方との対決って久しぶりだったもので緊張しちゃって…」 「じゃあ、あたし達をそのレッドだと思って挑んで見ろよ。そうすりゃ出来るだろ?ま、手加減はしてやんねーけどな。」 シグナムは物静かに、ヴィータは挑発するような笑みを浮かべ声をかける。それを聞いたヴァンプは深呼吸をし背筋を正す、そして彼は確信する。この人達とのご近所付き合いはきっと良好なものになると… 「ありがとうございます。じゃあ… フッフッフッ、時空管理局の魔導士達よ…我々はフロシャイム、世界征服のみならず次元征服へも乗り出した悪の組織である。挨拶代わりだ…今宵我らの力を見せ、お前たちを血祭りにしてくれよう…」 ヴァンプは対決時独特の饒舌さを発揮し、体の動きも加え手に持った槍を天へと突き出す。 「出でよっ!!フロシャイムが誇るタッグ怪人…メダリオッ!!そしてカーメn…」 「悪いが隙だらけだ!!」 「ぶっ潰せ、アイゼンッ!!」 だが彼女たちは、メダリオとカーメンマンを呼び出している最中のヴァンプ目掛け攻撃を仕掛ける。その突然の出来事に、構えていた戦闘員や現れる最中だったカーメンマンとメダリオは勿論、攻撃を受けた当のヴァンプも反応出来ず。ヴァンプは地面に叩きつけられていた。 「ちょっといきなり何するんですか!?」 「手前ぇーヴァンプ様に何てことを!!」 「ちょ、ヴァンプさん大丈夫!?」 はやてとリィン、アニマルソルジャーはヴァンプに駆け寄り、戦闘員を含めた怪人達は口々にシグナムとヴィータへ抗議する。 「貴様ら…全員そこに直れ!!」 だがシグナムとヴィータは各々のデバイスを地面に勢い良く突き刺し、聞く耳持たずでフロシャイムの面々を一喝する。二人の形相は『反論は許さず』と言った気迫を出しており、何とか立ち上がったヴァンプと怪人達はつい正座の姿勢をとってしまった。 「全く、いつも通りで良いと言ったがここまでとは…特にヴァンプ将軍、貴方が一番隙だらけとはどう言うことだ?」 「そ、それは…まさか私が先に狙われるとは思ってなくて…」 「はぁ?何言ってんだよ…戦いでまず指揮官を潰してから確個撃破すんのは常識だろーが?だいたいあたしらは『レッドのつもりで挑め』って言っただろ。なのに何だよこのザマはよぉ?」 「そんなヴィータちゃん、いくらなn「訓練中だ、今はヴィータ『さん』と呼べよな。」…すいませんヴィータさん…」 二人の有無を言わせぬ空気の中、他の怪人達も正座のまま俯いて何も言えずにいる。 「私は主達の話でしか聞いて無いが、そのレッドという奴がこの様な事をしないとも限らない…故に今回はあえてそれをやってみた。しかしここまでだとはな…」 「ったく『悪の組織』っつったら普通は上の奴ほど強ぇ筈なのによぉ…飾りか?お前の槍と楯は飾りなのか?」 「い、いえけして飾りと言う訳じゃ…それにこっちにも『悪の組織の演出』と言う物がありまして…」 「言い訳は聞いてない、そう言うことは貴方に隙が無くなってから言って欲しい。だいたい戦闘と言うのはな…」 この後、シグナムとヴィータによるヴォルケンリッターとしての長き戦闘経験に基づくシビアな話が延々と続き、リィンは間をオロオロと、そしてはやては「ハハハ…」渇いた笑いしか出なかった… 後にヴァンプはこう語る、「シグナムさんとヴィータちゃんの攻撃はレッドさん程痛くは無いけど、本気の殺気をぶつけて来て…レッドさんとは別の意味で『逆らえない何か』を感じたの、私。」と… 『天体戦士リリカルサンレッド』この物語はミッドチルダにて繰り広げる善と悪の壮絶なる闘いの物語である――― 続く 前へ 目次へ 次へ
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此処にはさまざまなSSを乗せていきます!
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―――メディスン・メランコリー。 精巧に作られた人形が魂を持った、付喪神(つくもがみ)に属する妖怪である。 その記憶は、アンティーク・ショップのウインドゥに飾られていた頃から始まる。 母親に手を繋がれてやってきた、一人の少女に抱かれた。 「あなたはメディスン。メディスン・メランコリー!すてきなお名前でしょ?」 名前を貰って、その子の家族になった。 何年かすると、自分と遊んでくれなくなった。 ―――ねえ。どうしたの? ―――もう一緒に、おままごとをしてくれないの? 「もう、いらない」 そして、ゴミ捨て場に置き去りにされた。 だけど、迎えに来てくれると信じてた。 信じてた。それから時間が経った。 それでも信じてた。季節が移った。 まだ、信じてた。年が過ぎた。 理解した。自分は<いらないモノ>になったんだと。 それでも、僅かな希望に縋って、待って、待って、待って、待って――― 気付けば、辺りは一面の鈴蘭だった。 ―――後で知った事だが、現世で忘れ去られた生物や物質は、この世界――― 幻想郷に流れ着く事があるのだという。 そこでも、自分は待ち続けた。待って、待って、待って、待って――― どれだけ待ったか分からなくなった頃、自分が動けるようになっている事を知った。 鈴蘭の毒を吸い、魑魅魍魎渦巻く幻想郷の空気に触れて、いつしかその身に魂を宿していた。 そして、自分にはどうやら<毒を操る程度の能力>があるらしい事を知った。 その頃にはかつて人間を愛し、愛された記憶なんて、すっかり色褪せていた。 そのくせ、捨てられた悲しみと怒りの記憶だけは、まるで消えなかった。 ―――自分は、命を手に入れた。じゃあ、どうする? ―――いらないモノと言われて、身勝手に捨てられた。 ―――だったら。私だって。 ―――人間(おまえら)なんか、いらないモノだ! 鈴蘭畑を離れて、人間を襲う事に決めた。 襲って襲って襲って襲って、全滅させてやるつもりだった。 何人か襲った所で…メディスンは、彼女に出会った。 「誰よ…あんた」 「なに。新顔に、ちょっと世間というものを教育してあげようかな、と」 それは、少女の姿をしていた。 優雅に日傘を広げた彼女は、一見して危険な空気はない。 だが、メディスンには分かった。 こいつは、人間じゃない。自分と同じで―――妖怪だ。 「妖怪が人を襲うのは、当然の事よ。それ自体はとやかく言わないわ」 「なら、放っておいてよ」 「そうもいかないの。そんな調子でやってたら、人間がいなくなっちゃうわ。そうなれば、我々妖怪だって共倒れ。 人間と妖怪は敵対しつつも癒着し、馴れ合いながらも闘い、いがみ合いつつ手を取り合う。 そういうバランスで、幻想郷は成り立っているのよ」 「それがどうした。私一人が暴れてどうにかなる世界なら、その程度だったって事でしょう」 「それはとても困るの。だから、貴女のようなはねっかえりが出てきて<異変>を起こした時は<博麗の巫女> が解決する事になってるんだけど…今回はたまたま私が貴女を見つけた事だし、同じ妖怪として、幻想郷での 生き方を教えてあげようかな、ってね」 「余計なお世話よ…私こそ教えてやる。今の私は、何だって、誰だって殺せるくらいに強いんだ―――!」 「鬱陶しい子ね…正直ウザくなってきたけど、まあ、いいわ。首を突っ込んだからには、面倒見てあげる」 「私はメディスン・メランコリー!人間だろうが妖怪だろうが、私の毒で溶かして侵して腐らせてやる! まずはお前だ!名前くらいは覚えてやる―――名乗れ!」 「私は風見幽香…人間だろうが妖怪だろうが気に喰わなければ問答無用でブッ飛ばす女として知られているわ。 メディスン・メランコリー。貴女の名前、覚えたわよ」 ―――教えられたのは、メディスンの方だった。 勝負以前、戦闘以前の問題だった。 強さの次元が違い過ぎた。 何よりも屈辱だったのは―――自分が、怪我一つ負っていないという事だ。 風見幽香が本気なら、一瞬でメディスンを粉々にも出来たのに。 彼女はむしろ、メディスンが傷一つ負わないように細心の注意を払いながら闘っていた。 一切の手を抜く事なく、念入りに手抜きされた。 その上で―――ありありと、実力の差を見せ付けられた。 苦渋にまみれて膝をつき、掌で地を叩く。 「くそっ…くそっ!」 「ほら、立ちなさい」 微笑みながら、幽香はそっと手を差し伸べた。 「弱い事も無知な事も、恥じゃないわ。最初は誰だってそう。これから強くなればいい。学べばいい」 「…何を、偉そうに」 「可愛くないわね?疎ましいわね?そんな態度じゃ、誰とも仲良くなれないわよ」 「仲良く…?そんな必要はないわ。私は一人で生きていく」 「無理よ。生きてるからには、一人じゃいられない。生きるというのは、どうやったって誰かと関わっていく事よ。 どうせなら、皆と仲良くやれた方がいいでしょ?」 「なら、お前はそうしてるっていうのか!?」 「いいえ。私は基本がいじめっ子だから、皆から嫌われてるわ…こう見えても、長生きしすぎた。もう手遅れ」 だからこそ、と。 幽香は笑みを消して、真摯な瞳でメディスンを見つめる。 「せめて、まだまだこれからがある貴女には、上手くやってもらいたい」 「…!上から目線で―――分かったような事を言うな!」 <毒を操る程度の能力>を発動させて、幽香の手を握る。 じくじくと。 その手を毒が侵食していく。爛れて、腐れていく。 「どうだ、風見幽香!そんなに強いお前だって、私の毒でそのザマだ!」 メディスンは、不敵に笑った―――そのつもりだったのに。 目から溢れたのは、涙だった。 「私はもう、妖怪だ…化け物だ!こんな…こんな私と、誰が友達なんかになりたがる!誰が愛してくれる!?」 「そうねぇ…」 考え込むように小首を傾げて。 彼女は、メディスンの小さな体躯を抱き締めた。 毒で、身体が爛れる事も意に介さずに。 「とりあえず、此処に一人」 「な―――!」 「貴女みたいな我儘な子。疎ましい子。弱い癖に吠えてばかりの…昔の私にそっくりな子を、放っとけない」 「むかし…の…?」 「私にも、今の貴女のような時期があった。我儘で、鬱陶しくて、弱い癖に吠えてばかりの子だった」 そして。 「私には、友達になってくれようなんて人も、妖怪もいなかった―――喧嘩の相手になってくれる奴はいたけどね。 自業自得とはいえ、それはそれは寂しい事よ…そうね。むしろ私の方が、友達が欲しいだけかもしれない」 「…………」 「お互い、友達がいない者同士―――仲良くしてみないかしら?」 「…ちぇっ。仕方ない、な」 負けた。 戦闘だけでなく―――心まで。 「そんなに言うなら…あんたの、友達になってあげても、いいわよ」 「そう。それはよかった―――それはそうとして」 幽香は拳骨を作って、振り上げた。 「暴れ回って幻想郷を騒がせたお仕置きだけは、しておくわ」 ―――手加減はしていたが、強烈な一発だったという。 それが。 メディスン・メランコリーが魂を得てから、初めて出来た友達だった。 その後、色々と経験を積み、多くの人間や妖怪と出会い。 何人か、友達と呼べる存在も出来たが。 メディスンの原点は、風見幽香との出会いだった。 幽香がいなければ―――今のメディスンは、いなかった。 ―――夢を見ていた。 目の前には、幽香がニコニコしている。 ちょっとどころでなく意地悪で、ちょっとどころでなく暴力的だが、本当は優しい所もたくさんある幽香。 メディスンは、実の姉のように慕う彼女の笑顔に、とても嬉しくなった。 …その手にしているペンキ入りのバケツが、異様に嫌な予感を醸し出してはいるけれど。 どこからともなくハケを取り出した幽香は、鼻歌交じりにメディスンにペンキを塗りたくり始める。 「はーい、茶色いメディ~♪」 「はーい、灰色メディ~♪」 「はーい、鉛色メディ~♪」 「はーい、真っ黒メディ~♪」 「はーい、ドドメ色メディ~♪」 「はーい、惑星ポポルのカエルのフン色メディ~♪」 「はーい、何かもう色々混ぜすぎて名状し難き色メディ~♪」 「七色ならせめて普通に虹色メディスンにしろやぁぁぁぁぁっ!」 寝起きも超スッキリ(か?)な美少女・メディスン。彼女が目覚めたのは、医務室のベッドの上であった。 「…夢見、悪いなぁ…」 そのせいだろうか、脳天と額がジンジンしている。 まるで頭頂部をぶん殴られ、その後激烈なデコピンを喰らったような痛みだ。 「って、それよりも試合は!?」 「終わったわ」 そう答えたのは、ベッドの傍にいた少女――― 「幽香!…終わったって…」 「二回戦、全部」 「えっ…」 絶句し、メディスンは力なく突っ伏した。 「うわあぁ…私、そんなに長い事気絶してたんだ…」 「全く。寝過ぎよ、メディ」 「幽香にだけは言われたくない気分なんだけど…私が気絶してた原因の半分は幽香にある気がするんだけど…」 「それは気のせいよ」 「そうかなあ…………あれ?」 メディスンは、そこで気付いた。 幽香は全身に包帯を巻かれている。如何にも<ついさっき殴り合いでもしてきたぞ>という具合に。 ―――強大な妖怪は、回復力も治癒力も並外れている。幽香もその例外ではない。 「幽香…怪我、してるの?」 「…まあね」 常の彼女らしからぬ、何処か遠くを見るような目だった。 「…強かったの?あいつ」 「強いわ」 ふっと。 自嘲するように顔を伏せた。 「少なくとも―――私よりも」 「んなこたーねーだろ」 声のした方には、レッドがいた。 彼もまた全身傷だらけで医務室のドアにもたれかかり、タバコを吹かしている。 「強さだけなら、差なんてなかったよ。もう一度やったら、どうなるか分かんねー」 「勝った奴に言われても、嫌味なだけね」 「…ちっ。これでも褒めてるつもりなのによ。性格悪りーなー、ホント」 「自覚はしてるわ」 「してるのが余計に悪りーっての…ったく」 ちらりと、レッドはメディスンに目をやった。 幽香の敗戦を知り、ショックを受けたのか、言葉もない様子だ。 どこかバツの悪い思いをしつつ、レッドはフォローを入れようと語る。 「あのよ…マジで風見は強かったんだぜ?どっちが勝つかなんて、時の運―――」 「サンレッド!」 怒鳴るような剣幕に、レッドも思わずたじろぐ。 「な、なんだよ…」 「わ、私が…!」 「あん?」 メディスンは気持ちの整理を付けながら、言葉を選びながら。 それでも、きっぱりと言い放った。 「私がいつか、幽香の仇を討つから…それまであんた、誰にも負けるんじゃないわよ!」 「…………」 「それに、あんたがあっさり負けたりしたら、幽香が弱いって思われるんだからね!」 「…はー。ったく、皆してプレッシャーかけさせやがってよ」 憎まれ口を叩きながらも。 レッドは、決意を新たにしていた。 「俺は誰にも負けねーって…何度も言わせてんじゃねーっつーの」 ほれ、と小指を差し出した。 「嘘ついたら、針千本だって飲んでやらあ」 「…ふん!」 鼻を鳴らしながらも、メディスンは小指を絡めさせる。 それを見つめながら、幽香は嬉しそうに笑っていた。 「嬉しい事言ってくれるわねぇ、メディ。私、貴女が応援してくれてたのに負けちゃったから、嫌われたんじゃない かって心配だったのよ?」 「別に…そんな事で、幽香を嫌いになんか、ならないよ」 「そのくらいで、友達を嫌いになんか、ならない」 「そう…貴女も、いつまでも我儘なだけの子供じゃないってことかしら?」 「…………」 照れたように、メディスンはそっぽを向いた。 レッドも、二人を静かに見守る。マスクの奥の素顔は、きっと笑っているのだろう。 「さて、メディ。サンレッドを倒すのは大変よ。少なくとも、私よりも強くならないといけないんだから」 「分かってる。強くなるよ、私」 「険しい道よ」 「分かってる」 「厳しいわよ」 「分かってるってば」 「よろしい」 幽香は、満足げに頷いた。 「なら、特訓ね。実は、前々からメディに対してやってみたかった虐待…いえ、修行があったのよ」 「え…ちょ、待って。今、普通に虐待って言った?」 「名付けて、一週間で最強妖怪になれる<USC(アルティメットサディスティックコース)>」 「何なの、その見るからに最悪な名前!?」 「うふふふ…まずはそこら中の妖怪集めて百人組手ね。それが済んだら日課として、まずは軽めに500キロの バーベルで素振り一万回。指一本で大岩を砕いた後は幻想郷を兎跳びで一周。更に苦痛に耐える訓練として 油風呂、針の山歩きに火の輪くぐりも…」 「ちょっとー!?」 あまりにも不吉すぎる言葉の数々。メディスンの顔からは既に血の気が失せている。 レッドは、そろそろと医務室のドアを開けて。 「…じゃあ…俺は、これで…お前がいつか強くなって俺の前に現れる日を、楽しみにしてっから…」 Bボタンを押しながらダッシュで駆け出した。怪我人とは思えないスピードである。 「ちょ、ちょっと待ってよ!ヒーローのくせに子供を見捨てるの!?お、置いてかないで!殺されるぅ~っ!」 メディスンの悲鳴は、会場中に響き渡ったという。 その後、彼女がどのような修行を受けたのか。 その成果はあったのか。 それは誰も、知り及ぶ事ではない…。
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蒼星石のSS 個人的な蒼星石のSSになります。 たまに気が向いたら更新します。(ほぼ無理 ┌──┐ i二ニニ二i i´ノノノヽ))) Wリ゚ -゚ノリ 次はどうしよう… __/((┃)) i_カリカリカリ / /... ヽ⌒) (,,ノ \\/ /_______ ヽ\ 長編 短編
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SS ショートストーリーでもスクリーンショットでもご自由に クロ騎士物語書いてくれているので、触発されてページ用意してみました クロ騎士物語 Eros! レスキュア5 仮面ライダー ゲレ ~MaskedRider GeRe~ ここのページを編集
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―――前回までのおさらい――― 美しくも謎めいた妖怪・八雲紫の力によって不思議な世界<幻想郷>へと迷い込んだ天体戦士サンレッド御一行。 かつてこの地を訪れた伝説の吸血鬼<賢者イヴ>の遺産を巡って開催された<幻想郷最大トーナメント>に参戦した レッドさん。 彼は望月ジロー・コタロウの吸血鬼兄弟、そして宿敵である悪の将軍ヴァンプ様と友情を深めたりしつつ、神奈川県 川崎市溝ノ口では使い道のなかった戦闘力を存分に発揮し、一回戦では鬼族最強の星熊勇儀を倒す。 そして二回戦において幻想郷最強の一角と称される風見幽香との死闘を制し、見事に準々決勝へと勝ち進んだの であった。 これより待ち受けるは、更なる強敵。 頑張れ、僕らのヒーロー・サンレッド! とりあえず、全ては祝勝会でヴァンプ様の愛情と殺意たっぷりの御馳走を食べてからだ! と、いうわけで、幻想郷最大トーナメント初日から一夜明けて。 其処は転生を待つ死者達の世界・冥界。 昼間でも薄暗く、まともな感性の持ち主であればどことなく陰鬱な気分にさせられる事であろう。 夕暮れ時は更に欝蒼とした雰囲気を醸し出し、道行く者の背中をゾクリとさせる。 そんな冥界を管理する亡霊姫・西行寺幽々子が座する白玉楼にて。 「フンフフフフフーンフフフッフーン♪」 ―――冥界の空気をブチ壊す陽気な鼻歌を口ずさむ…もとい鼻ずさむのは、そう、ヴァンプ様。 白玉楼の台所に立つ彼は、今夜の<レッドさん祝勝会>の準備の為に、料理の仕込みで忙しいのだ。 出席者は主役のレッドさん。望月兄弟。幽々子に妖夢。そしてヴァンプ様自身。 「紫様にも声をかけたんですが<これでも忙しい身なのよ。ま、行けたら行くわ>だそうです」 「うーん。となると、料理は多めに作った方がよさそうですね」 「まあその辺の計算は大丈夫ですよ。幽々子様を基準にすれば、他の面子は誤差みたいなもんですから」 レッドさんとジローは成人男性の標準程度には食べる。 コタロウは小さい身体の割に食いしん坊だが、まあ理不尽なまでの大食いでもない。 ヴァンプ様は残ったら<もったいない!>と食べてしまうオカン気質なので、意外に食べる。 妖夢は剣の鍛練と幽々子の為の雑用で結構動き回っているので、女子の平均以上には食べる。 紫は以前、一緒に食卓を囲んだ時には普通に食べていたので、平均的と見ていいだろう。 幽々子の胃袋は宇宙である。 というわけで、かなりの量を作らねばならない。 とはいえ、元が料理好きのヴァンプ様にとっては苦ではない。 むしろ楽しげに包丁を振るい、鍋の火加減を調節している。 「しかしヴァンプさん。もしレッドさんが負けてたらどうするつもりだったんです?」 隣で彼を手伝っていた妖夢は、そう尋ねる。 対してヴァンプ様は、ニコニコしながら平然と答えた。 「その時はまあ、残念会ということで」 「なるほど。もし不幸にも死んでたら抹殺記念祝賀会という事だったんですね?この悪党めぇ(笑)」 「いやあ、そう考えると残念ですね。勇儀さんも幽香さんもかなりいいトコまでレッドさんを追い詰めてましたし。 はっはっは」 物騒な話題を和やかな口調で交わしつつ。 ヴァンプ様はデザートにと作ったケーキの上に、お手製の砂糖菓子人形を置いていく。 レッドさんにヴァンプ様。ジローとコタロウ。幽々子と紫、そして妖夢。 その再現度は非常に高かったが、妖夢は不満げである。 「むう。私はもっとスリムでしょう。具体的には私の腰をもっと細くして、その分を幽々子様に回すべきかと」 「ははは、そんな事を言ってると怒られちゃいますよ」 なんて言いながら、チョコレートで字を書いていく。 <レッドさんおめでとう!そして死ね!> 「もう何を言ってんのか分かりませんよ。祝ってんですか、それとも呪ってんですか」 「いや。それはそれ、これはこれ、ですよ」 どんな時もレッドさん抹殺への執念を忘れない、それが僕らのヴァンプ様である。 「どれどれ、少し味見を…」 「あー、ダメダメ、妖夢ちゃん!つまみ食いは許しませんよっ!」 そこら辺は厳しいヴァンプ様である。 「さ、料理を運びましょうか。レッドさん達がお腹を空かして待ってますよ」 「全く、男衆はこういう時に手伝ってくれないのですから。これだからヒ○なんですよ」 「ははは、まあそんなグチグチ言わないで」 ―――そして、ヴァンプ様も妖夢も消えた台所。 眼を肉食獣の如くギラつかせた影が其処に忍び込んだ事に、気付く者はいなかった―――! ちゃぶ台の上には、湯気を立てた料理が並ぶ。 「おー、ヴァンプ。中々頑張ったじゃねーか」 へらへらしつつヴァンプ様をねぎらうレッドさん。久々にバトルスーツを脱いで、いつものTシャツ短パンスタイル でくつろぎタイムである。 なお今回のTシャツ文字は<陰惨系魔法少女>だ。 「いやー、大した事はありませんよ。レッドさんの祝勝会なんですから、これくらいはしないと…しかし忘れるなよ サンレッド!私はいつでも貴様の首を狙っているという事はな、ククククク…いたっ」 悪的発言をかますヴァンプ様とそれを小突くレッドさん。 もはやマンネリを通り越して安心感すら覚えるいつもの漫才。 それを見つめるジロー・コタロウ・妖夢の眼差しはとても暖かい。 具体的に言うと出しっぱなしにして小一時間経ったマグロの刺身くらい生暖かった。 「さ、後はケーキを持ってきて、幽々子様を呼んで、パーティーの始まりといきましょうか」 「わーい、ケーキ!ねえねえ、レッドさん。ローソクの火を消すの、ぼくがやっていいかな?」 「あー?別にいいよ、誰がやったって…」 「いやいや、ここはレッドさんが主役ですから、やはりレッドさんが吹き消すべきかと…いたっ」 気のない素振りのレッドさんに余計な事を言って、またも小突かれるヴァンプ様であった。 「うるせー!んなガキくせー事、やりたくもねーよ!」 「おや。そんな事を言う割に、実はやりたかったんじゃないかと思ってしまうのは、勘繰りすぎでしょうか?」 「混ぜっ返すんじゃねーよ、ジロー!」 「ふふ…」 そんな彼らの様子を見て、妖夢は微笑む。 「仲がよろしくて結構。皆さん方を見ていると、私の中の乙女コスモが満たされますよ」 「よせよ、気持ち悪りい」 「やはり基本のレッドさん×ヴァンプさんが一番萌えますね」 「えー、そんな。私とレッドさんはそんなんじゃないですよぉ(ぽっ)」 「頭カチ割られてーのかテメーら!」 「おお、怖い怖い…では、ケーキを取りに行くついでに幽々子様を呼びに行きますね」 ―――幽々子の方がついでである辺りに、彼女の高い仕事意識と忠誠心が如実に表れているといえよう。 ―――妖夢は台所に足を踏み入れた瞬間、違和感に気付いた。 言葉にはできない、嫌な予感。 何かがおかしい。何かが―――狂っている。 脳裏には某超大作サスペンスゲームで死体が発見された時のような恐怖感溢れるBGMが鳴りっぱなしだ。 バクバクと高鳴る心臓を押さえ、鉛のように重い足を引きずるようにして歩く。 「う…!」 台所の隅。 そこに、一人の女が蹲っていた。 「ゆ…ゆゆ…こ…様…?」 顔は見えないが、間違うはずがない。 その後ろ姿は、確かに己の主君である西行寺幽々子その人だ。 「ま…まさか…!」 最悪の可能性に思い至って。 愕然と。呆然と。 妖夢は、立ち尽くした。 「妖夢…」 ゆっくりと、幽々子が振り向く。スローモーション再生でもしているかのように、その動きは遅かった。 まるでゾンビのように、顔面から全ての表情が抜け落ちている。 口元が、べっとりと白いもので汚れていた。 周囲に漂う、甘ったるい香り。 「ごめんなさい…ごめんなさい…」 「よ…よして下さい。何を…謝ってるんですか…?」 「ちょっとだけ…ちょっとだけの心算(つもり)だったの…だけど…我慢できなかった」 「は…はははは。冗談は、良子さんですよ。まさか、いくら幽々子様でも、そんな真似をするわけないと信じてます とも。それくらいの自制心はありますよね?」 それには答える事なく、幽々子は胸元に抱えていた一枚の皿を差し出した。 ケーキが乗っていたはずの、その皿には、今は僅かにクリームがこびり付いているのみ。 「とっても…とっても美味しかったの!ヴァンプさんのケーキ!」 「あ…あんたって…あんたって人はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 プチンッ 妖夢は知った。 本物の怒りは。純粋なる憤怒は。 むしろ、人を冷静にさせるのだと。 「幽々子様…否。西行寺幽々子!」 全身に、かつてない力が漲るのを、妖夢は感じた。 「許さねえ…貴様は私の心を裏切ったっっっ!」 額に浮かぶ青筋。 服を破りながら盛り上がっていく筋肉。 血走り、狂気に満ち満ちた眼。 迸る怒気と闘気、そして殺気。 もはや其れは、妖夢であって、妖夢とはとても言えない存在と化していた――― 「最終奥義(ラストスペル)―――<武血鬼裂妖夢(ブチキレヨウム)>!!!」 _,..-、 ,.l~~~~~|, - "~ヽ ヾ ´ | ヽ,.. ヽ ヽ i! / ヽ ヽ ヽ __,,.. .-=--‐ニヽ_ 、.- ´ ¨¨¨¨¨ ` - .._ , - "彡´ `丶、 ヽ ヽ、 / ./´, ,. ノ( `丶 , ヽ、 / / / ,. /| ⌒ ヽ ; ヽ | / .l ,. / / | i l ヽ ; ヽ |/ .,. .l / ⌒\,, | 、/⌒` .l ヾ |. ,. .ir ./| | ./ レ .、 |___ || ̄ ̄ | , .l |. i!/. ;. /r i /| ロ i | ロ | !_ , l | ii ∨/ ヽ L_ _| L_ __ノ ノ | l / |⊂⊃ / | | / l ,--、_/ ヽ ⊂⊃/ | | /. , ノ( (++++r‐-r++++) / |. | , ヽ⌒ ,/ / -- / | i! .| , ィ ゙" ̄`ゝ----‐彳" l / ,.ァ .,.,. | i.!. | ∠_, , , _, /‐---< / / l / | ./| / i__ /゙ O iir ̄Oヾ / i| ! . . . .......... =≧=‐- 、 ,  ̄ノ ;  ̄゛` _ノ, /. ヽ i / / .. . ..,. . `ヽ l ヾ;;; `ヽ `ヾ /. . i i / . .. ,.‐ ". . . 、 . } l , ) ̄`ヽ ` /.\. ヽ , -‐ ´ .. .. . l . . . | `、 廴_ゝ) / `ヽ、 / . 、 .. .. . . . i ... . ∧ ヽ、________, ィ . i . . . ` ‐-=、ヽ、. .. . . . ノ ! /{ . ´. .i . . | . . . /゙"ヽ、 .. . ´ .. | , ` ... . . . . ;! .. . . . | . . { . . ; ` . . ;! | { . ` ゙´| . . l . . . .. . | . . i .. iく | { . .. . .. . . . ト、 . .. . . . . . ;!、 .. . . . ... . . .. _;;.ゝ、.. | .. ノ . ヾ、 /` 、,,,___ ノ \ . ..... . ノ ..` ー .....;;;_;; .-‐ .... ... ,> =、 . i . } . { . . . ___\ ` ‐-=、 . .. .. r ー-=、..... ... .. / . . ! ; | !ー . / ___;>┐ \ .. ! ,.-― ‐、 ,,. ‐ ´ . . __;ノ.イ ;. ../ /´、  ̄)ヽ. _,r―‐亠- 、! |「 . . - ´. . / ヽ! { ..  ̄ ̄厂 く__,.-‐ ..| |! . . . .. ... - =_ヲ その異形と化した超肉体から放たれた一撃は、この幻想郷にあって尚、常識を外れた破壊力を秘めていた。 ただ、力を込めて、下から突き上げるように殴る。 角度。タイミング。速度。全てが完璧なアッパーカットだった。 「これは貴様に食べられた…ケーキの痛みだぁぁっ!」 「ひでぶっっっ!」 屋根を突き破り、幽々子の身体は天空へと打ち上げられた。 「まだこれからだぁぁぁぁっ!」 それを追い、妖夢が飛び上がる。 いつものように魔力とかそういうのではなく、純然たる脚力だけで飛ぶ。 「これは…ケーキの悲しみぃぃっ!」 残像すら見えないスピードで幽々子に追いつき、音を置き去りにして怒涛の猛攻。 最後に、両腕を大きく振りかぶって。 「そしてこれは…ケーキの怒りだぁぁぁぁぁぁぁっ!」 振り下ろす。 幽々子の脳天がひしゃげ、次の瞬間には大地へと叩き付けられた。 「はぁっ…はぁっ…う…ううっ…!」 眼窩から溢れ出す涙。そこには、勝利の喜びなどない。 ケーキ。嗚呼、ケーキ。 皆が楽しみにしていたケーキ。 もはや幽々子のお腹の中で消化されるのを待つだけとなったケーキ。 妖夢の慟哭はただ虚しく、物悲しく、宵闇へと消えていった―――
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